石勝線・新夕張駅を紹介します。夕張市の中心部近くに位置する新夕張駅は、夕張市内を北上していく「石勝線夕張支線」と、本線である「石勝線」を分かつ役割も果たしている駅です。夕張の歴史を紐解くうえでも、絶対に訪れておきたい駅だと言えるでしょう。
石勝線の中心となる街!夕張市とはどんな街?
千歳からゆったりと走ってきた石勝線は、夕張市の中心部へと入っていきます。「破綻した街」という印象の強い夕張市ですが、実際のところはいったいどのような街なのでしょうか。
夕張市は空知地方の南東部に位置する街で、夕張川と大小の山々に囲まれたています。そのような自然環境に育まれてきた夕張市には、開拓がはじまって以降石炭が豊富に眠っていることが明らかになりました。明治時代の初期から炭鉱の開発がすすめられ、数多くの炭鉱が拓かれたことで、夕張は「黒いダイヤ」とも呼ばれる石炭の算出によって発展していくことになるのです。
道の駅「夕張メロード」にある、戦前から戦後にかけての炭鉱の様子を撮った写真。
1960年ごろには夕張の炭鉱事業は最盛期を迎え、市の人口も12万人に迫るほどに成長しました。石勝線の前身である国鉄夕張線は、そのような発展を続ける夕張の炭鉱、そして夕張市民にとって欠かせない交通手段であり、人や物資が連日運ばれ続けていたのです。
しかし、石炭から石油への世界的なエネルギー転換であるエネルギー革命がおこったことで、夕張の炭鉱の重要度も加速度的に落ち込んでいくこととなりました。夕張の炭鉱も次々と閉山し、1970年ごろには最盛期の半分ほどにまで街の人口が減少し、次第に街並みにも活気が失われていったのです。
そして1990年代に入ると夕張の炭鉱はすべて閉山してしまい、夕張の街からは基幹産業が失われてしまいました。夕張は新たな基幹産業として観光事業を立ち上げ、レジャー施設などのいわゆる「箱モノ」を数多く建設することで生き残りを図りました。
しかし観光事業は振るわず、後には施設建設時の巨額の負債だけが残ってしまうこととなりました。このような事業転換の失敗が大きな原因となり、夕張市は2006年、「財政再建団体」に指定され、いわば「破綻」した状態となりました。それ以来、夕張市は18年をかけて財政を健全化させていくこととなり、現在はまだその途上にあります。
山々が育んだ黒いダイヤによって巨万の富を築いた夕張市ですが、時代の移り変わりに対応することができず、現在のような状況を招いてしまったのです。
国鉄夕張線時代は違う駅名!新夕張駅とは?
石勝線の6番目の駅である新夕張駅は、夕張市内を北上する「夕張支線」との分岐を行う石勝線のターミナル駅です。石勝線の前身である国鉄夕張線の時代には、新夕張駅は「紅葉山駅」として運用されていました。
新夕張駅は石勝線の中でも最も古くからある駅であり、1892年に開業して以来120年以上にわたって人や物資を運ぶ拠点として活躍してきました。北海道炭鉱鉄道、国鉄夕張線、そして石勝線へと路線が名前を変える中で、駅名を変更しつつも一貫して重要な役割を担い続けてきた駅なのです。
現在でも主に千歳方面、そして新得町方面へ向かう一定数の乗客が駅を利用しており、駅舎の設備は石勝線内の駅でも充実しているものとなっています。2階にあるホームから、夕張の山々や駅周辺の街並みを見渡すことができる点も特徴です。
新夕張駅外観。石勝線が開業した1981年に紅葉山駅から新夕張駅へと改称し、変わらずに石勝線の輸送拠点としての役割を全うしています。
紅葉山駅の駅名表示板。
自転車置き場も大きなものが使われており、利用者がある程度いることが分かります。
駅前からは、石炭を育む一因となった山々の姿も確認することができます。
駅構内の様子。大きめの駅であり、待合室にもベンチが多めに配置されています。
列車の発着確認には、電光掲示板が採用されています。
ホームは2階にあります。地下通路のような道を通って、ホームへと向かいます。
冬は寒さが厳しいこともあって、ホームに出る前にも待合用の椅子が設置されています。
ホームの様子。夕張が山あいの中にあることもよくわかります。
新得方面の線路。天気が良い日の眺めは非常に良いものとなります。
新夕張駅周辺スポット①:道の駅 夕張メロード
新夕張駅の目の前に位置している「道の駅 夕張メロード」は、国道274号線を進むドライバーはもちろん、新夕張駅を訪れた人にとってもほっと一息つくことのできるスポットとなっています。
道の駅には地域住民向けのスーパーが併設されており、食料品や日用品なども購入することができます。そのほか、売店や休憩スペース、農産物直売所などはもちろん、夕張の炭鉱の歴史を学ぶことのできるコーナーもあります。
道の駅 夕張メロードについて、詳しくはこちらの記事を参照してみてください。
道の駅の外観。近代的な建物です。
生鮮食品なども販売しているスーパーが併設されています。
炭鉱の歴史を静かに語る展示コーナーも設けられています。
もちろん、お土産コーナーもあります。
新夕張駅周辺スポット②:紅葉山神社
道の駅 夕張メロードのすぐ隣に位置している「紅葉山神社」は、長きにわたって紅葉山地区の住民の健康や安全、そして炭鉱労働者の安全を祈願し続けてきた神社です。国道沿いにあり、かなり大きな敷地の神社であり、すぐに見つけることができるでしょう。
大きな本殿を構えるこの神社は、炭鉱が衰退した現在でも紅葉山の人々を見守り続けています。炭鉱がなくなっても、紅葉山神社の役割が変わることはありません。
紅葉山神社の鳥居。
紅葉山神社からは石勝線の線路も見え、特急が走っていく様子なども見ることができます。
境内は広く、荘厳な雰囲気を存分に感じられます。
本殿の横にはちょっとした遊具も用意されています。
本殿は古めかしい印象であり、夕張の歴史を感じることのできる建物です。
新夕張駅のまとめ
新夕張駅は、かつては紅葉山駅と呼ばれており、明治時代から一貫して路線の重要なターミナル駅として機能し続けてきた駅です。炭鉱がなくなってからもその役割が変わることはなく、石勝線で現在も重要な役割を担い続けています。
石勝線は新夕張駅から「夕張支線」へと分岐し、夕張市内を北上しながら進んでいきます。夕張支線の駅を巡る前に、次回は惜しまれながらも廃止されてしまった駅を3つまとめてご紹介します。
むらはし
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