炭鉱の残り香を感じる!石勝線の鹿ノ谷駅へ行ってみよう!

石勝線の鹿ノ谷駅を紹介します。古めかしい住宅が並ぶ地域が続く中にある鹿ノ谷駅は、かつて炭鉱関係者が数多く住む地域の中心となっていました。近くにある「幸福の黄色いハンカチ」関連のスポットにも立ち寄っておきましょう。

清水沢から夕張駅までは、古びた住宅ばかりの地域が続く!

人口が最盛期の15分の1程度になってしまった夕張市では、古びた住宅や商店などの建物ばかりの地域も出てきています。前回の清水沢駅から夕張支線の終点・夕張駅までは市内でも特に古びた建物が多い地域であり、比較的新しい市営住宅などを除いては炭鉱全盛期の1960年から70年ごろに建てられた住宅なども散見されます。

炭鉱全盛期の際には人々の活気であふれていたであろう場所も今は昔。現在では、空き家や使われていない建物も数多くなっており、寂しい印象の場所となってしまっています。人が少ないゆえに、秋や冬に訪れた際には、静かな街の情景に風情やおもむきを感じることもできるでしょう。

山々をはじめとした自然の景観の中に、使われなくなった建物も含めて歴史のある建物が数多く建っています。

炭鉱鉄道の隆盛を語る駅!鹿ノ谷駅とは?

夕張支線の4番目の駅である鹿ノ谷駅は、北炭の主要炭鉱のひとつであった「平和炭鉱」の近くに位置している駅です。平和炭鉱全盛期には周辺が炭鉱関係者、特に幹部が住む場所となっており、夕張北高校などにも近かったことから通学・通勤する利用者で賑わいを見せていた駅でした。

平和炭鉱の閉山にともなって住宅街からは活気が消えてしまい、以後急速に駅の利用者は減少してしまいました。輸送する人の数が減ったことで駅の規模も縮小。現在ではほとんど利用する人がいない状態となっています。

鹿ノ谷駅外観。かつては5線ほどが敷かれている大きな規模の駅でしたが、利用者の減少に伴って駅自体の規模も縮小。駅舎も小規模なものになっています。

ちょうど、夕張駅からの列車が到着しました。乗降客は誰もいません。

駅構内の様子。だだっ広く、簡素で寂しい印象です。

1984年に無人化されて以降、この窓口が開くことはなくなってしまいました。

時刻表。上下線とも5本ずつの運行です。

ホームの様子。駅の向こう側へと行くことのできる歩道橋も見えます。駅の規模が大きかったころと変わらない歩道橋の長さが、鹿ノ谷駅の最盛期を静かに語っています。歩道橋は駅の向こう側にある住宅地まで続いています。現在では、この歩道橋を使う人も少なくなってしまいました。

新夕張方面の線路。かつてはホームの前の丘側にも線路が数多く敷かれていました。

遠くには、夕張市を囲む山々の姿が見えます。

駅構内の窓口の場所には、「思い出ノート」が設置されています。ローカル線ならではの楽しみ方のひとつです。

ローカル線を周っている人や、たまたま訪れた人など、様々な書き込みがあります。

鹿ノ谷駅周辺スポット:幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば

鹿ノ谷駅から2キロほど離れた場所にある「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」は、1977年に公開された山田洋二監督、高倉健主演の映画「幸福の黄色いハンカチ」で実際に使われた炭鉱住宅などが展示されている場所です。

高倉健・倍賞千恵子をメインキャストに、脇役にこれが映画初出演だった武田鉄矢や桃井かおり、さらには「寅さん」の渥美清までもが出演したこの映画は、国内外で高い評価を勝ち取った不朽の名作となっています。

ラストシーンの「黄色いハンカチ」を掲げる舞台となった炭鉱住宅は、ロケ当時のまま保存されており資料的価値も高く、映画を見ていない人にとっても炭鉱全盛期の時代を知ることのできる場所となっています。

広場は、小高い丘を登った場所に位置しています。

木造平屋建ての炭鉱住宅。炭鉱全盛期には、このような住宅で炭鉱労働者が寝泊まりをし、額に汗して働き続けていました。

春から秋にかけては実際に炭鉱住宅内に入り、映画の世界を存分に堪能することができます。

高台からは、現在の夕張の街の景観も楽しむことができます。山々と街の姿を通して、夕張の歴史に思いをはせるのも良いでしょう。

鹿ノ谷駅のまとめ

鹿ノ谷駅はかつて「平和炭鉱」があったことで栄えた駅です。平和炭鉱が閉山されて以降は急速に駅自体がすたれてしまい、現在ではほとんど乗降客のいない駅となってしまっています。しかし、思い出ノートや幸福の黄色いハンカチ想い出ひろばなど、周辺のスポットも含めて見どころの多い駅だと言えるでしょう。
夕張支線は鹿ノ谷駅を出て、いよいよ終点「夕張駅」へと入っていきます。近年中の廃線が決定的な夕張支線で、もう見られなくなってしまう車窓からの風景を目に焼き付けながら、終点まで向かっていきましょう。

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むらはし

むらはし

北海道の鉄道に魅せられた平成世代。北海道に数多くある秘境駅、廃線間近の路線などを巡り、その素晴らしさを伝えたいと思っています。

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