かつての炭鉱の輸送拠点!室蘭本線・石勝線の追分駅とは?

室蘭本線の追分駅を紹介します。石勝線への分岐駅にもなっている追分駅は、特急も停車するためこれまでの駅に比べるとかなり大きい規模の駅となっています。旧追分町の街並みも、ぜひとも見ておきましょう。

室蘭本線は安平町へ向かう!安平町とは?

前回からさらに南下し、室蘭本線は由仁町を飛び出して胆振振興局・安平町へと向かっていきます。胆振振興局は管内に苫小牧市、そして室蘭本線の基幹都市である室蘭市を有する行政区画です。安平町から苫小牧市までは電車で30分と好立地であり、安平町から苫小牧市へ通勤・通学をする方も多くなっています。

安平町は人口8,000人程度を抱える町であり、札幌・苫小牧という基幹都市にほど近いにもかかわらず、特に北部には農村地帯が多いのどかな町です。夏の気温が比較的高く、冬の気温は内陸であることから札幌より5度程度低いことも多い場所となっています。厳しい気候条件の町ではありますが、そのことが良質な農作物などを豊富に育み、農業的には非常に好条件な場所となっているのです。

安平町は、「早来町」と「追分町」が2006年に合併して誕生した新しい町です。安平町の行政機能の中心は早来町側に集まっているため、旧追分町側にはそれほど多くの人は住んでいません。

由仁町から続いて山々や川など豊かな自然が息づいており、これらが良質な農作物の原動力となっています。

特急も止まる駅!追分駅とはどんな駅?

室蘭本線の9つ目の駅である追分駅は、かつて夕張方面への炭鉱労働者や石炭貨物列車などが必ず通過する駅として栄えていました。札幌や室蘭方面へ行き来する労働者や石炭貨物などを扱うため、安平町の人口に見合わないほどの巨大な駅舎が建設されたのです。

ところが、炭鉱事業が縮小したことで追分駅は大輸送拠点としての役割をはく奪されることとなってしまい、後には巨大な駅舎とホームのみが残されてしまいました。しかし、この巨大な駅舎を生かさない手はないということで、追分駅には現在でも特急「スーパーとかち」の全列車、そして「スーパーおおぞら」の一部列車が停車しています。

また、追分駅は石勝線への分岐駅にもなっており、石勝線から夕張方面へ向かうことも可能です。夕張炭鉱と共に歩んだ石勝線をたどった記事はこちらからご覧いただけます。

追分駅外観。大きなロータリーも備えていますが、町の規模を考えると、駅単体としての大きさは確実にオーバースペックなものとなっています。

特急が停まり、夕張方面へも接続していることから利用客はある程度多い駅となっています。

駅の真横に置かれている、実際に使われていたSLの車輪とレールです。

この車輪を持ったSLは消失してしまい、現在は車輪のみがこのように飾られています。

SLの歴史を解説するパネル。

駅の横にはこのような大きな看板があります。

駅構内にある追分鉄道の歴史を伝える写真。追分とは、鉄道などの分岐点を意味する単語であり、北海道だけでなく全国各地に、そして台湾の台中市にも「追分駅」という駅があります。

追分鉄道の制服。炭鉱で働く人々や貨物を運び続けてきた歴史が刻まれています。

時刻表。ピンク色で囲まれているのが、特急列車の時刻です。

ホームから見た岩見沢方面の線路。この写真だけでも、巨大な敷地を持っていることが分かると思います。

苫小牧・長万部方面の線路。乗り場は4つあり、北海道でいえば10万人クラスの都市の駅と同じ規模となっています。

ホームの後ろ側が枯れ木ばかりになっていることからも、追分駅周辺が決して開けた場所ではないことが分かるかと思います。

跨線橋も巨大です。札幌や苫小牧・室蘭方面へはこの跨線橋を渡って向こう側のホームで列車を待ちます。

跨線橋からの苫小牧方面の眺め。向こう側に、線路を大きくまたぐ形で道路が設置されています。

岩見沢方面の眺め。そもそも周囲に人家が少ないことがよく分かります。

古めかしい看板が掲げられています。鹿の人形は怖い印象です。

また、追分駅の前には小川が流れており、駅を利用する際には橋を渡ることになります。川の周囲には民家がいくつか建ち並んでおり、非常に小規模な住宅街が形成されています。

この橋を渡って、追分駅へと向かいます。

「追分橋はメロディー橋」ということでしたが、壊れているのかボタンを押しても何の反応もありませんでした。

駅から徒歩3分ほどの場所には安平町役場の支所があります。コミュニティセンターも入居しており、地域住民の憩いの場となっています。

支所の隣には「ぬくもりの湯」という温泉施設もあります。

コンクリート打ちっぱなしの、近代的な建物です。

追分駅周辺スポット①:安平鹿公園

追分駅から徒歩5分程度の場所にある安平鹿公園は、「日本最古の保険保安林」を有する巨大な公園です。1902年に保安林として指定されて以来、原生林のある公園は周辺住民の安らぎの場となりました。犬の散歩などで訪れる人も非常に多い公園です。

また、公園内にはエゾシカが生息しており、野生に近い状態で伸び伸びと生活しています。さらに、ウコッケイやクジャクも飼育しているなど、動物たちと触れ合うことできる公園となっています。

公園では、厳つい看板が出迎えてくれます。

原生林を保存したいという町民などの声から、この場所が保安林として指定されました。

広大な敷地の中で、エゾシカなどの動物たちも伸び伸びと生活しています。

追分駅周辺スポット②:安平町鉄道資料館

追分駅から徒歩10分程度の場所にあるこの資料館では、館外に巨大な貨物列車の遺構を展示しています。5月から10月の第2 ・第4金曜の13時~15時に限っては資料館の倉庫も解放され、実際に走っていたSLなどを見学することができます。また、年間数回のみ、広場に設けられたレールを移動機などが走る日もあります。

巨大な貨物列車の遺構が資料館の目印です。

実際に使われていた駅名表示板も残されています。

平日は館内を見ることはできませんが、予約をすれば開けてもらうことも可能です。

広場には遊具もあり、普段は子供たちが遊ぶ公園として機能しています。

追分駅のまとめ

追分駅は、安平町の規模を考えると必要がないほどに巨大な駅です。しかしこの大きな駅は、かつて炭鉱が栄えていた時代にはフル稼働で、汗まみれの炭鉱労働者の方や石炭などを運び続けていた歴史を持っています。その歴史を感じながら、駅構内を歩いてみるのも良いでしょう。
安平町には、なんと室蘭本線の駅が4つも存在しています。次は、追分駅の少し南側にある「安平駅」へ向かっていくことにしましょう。

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むらはし

むらはし

北海道の鉄道に魅せられた平成世代。北海道に数多くある秘境駅、廃線間近の路線などを巡り、その素晴らしさを伝えたいと思っています。

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