アイヌ文化を存分に感じられる!室蘭本線・白老駅とは?

室蘭本線の白老駅を紹介します。苫小牧市の隣町である白老町は、アイヌ文化を感じることのできる自治体でもあります。白老町を訪れたら、必ず「白老ポロトコタン」に足を延ばしてみましょう。

室蘭本線は、白老町中心街に向かって進んでいく!

前回の社台駅から白老町に入った室蘭本線は、白老町の中心街に向けてさらに南西へと進んでいきます。人口1万7,000人ほどの白老町ですが、苫小牧に向けて通勤・通学をする方も多いため、室蘭本線にはやはり主要路線としての役割が求められています。

白老町は他の町制が敷かれている町に比べると比較的人口規模が大きいため、社台駅を過ぎると室蘭本線の列車からは民家の姿を見ることも多くなっています。

このように、住宅街が形成されている場所も数多く存在しています。

白老駅は白老町の中心街をつかさどる駅!

室蘭本線の19個目の駅である白老駅は、白老町の中心街に位置しています。駅は比較的広く、小奇麗な駅舎の印象も相まって、明るい雰囲気の駅になっていることが特徴です。

白老駅は苫小牧と室蘭の中間地点に位置していることもあり、これらの街をつなぐ役割も担っています。また、利用者もある程度多いことから有人駅となっており、待合室などの設備も広々としています。前述したとおり、通勤・通学の方が白老駅を利用することも多いため、朝と夕方には特に利用客が増え、多くの乗客が押し掛ける駅となります。

白老駅外観。駅舎は西洋風の小さな建物であり、小奇麗な印象です。晴れた日には陽の光を受けてより明るい印象の駅舎となります。

レンガと木、モルタルが調和したモダンな駅舎です。

駅構内は広々とした待合室を備えており、パンフレット類なども豊富に取り揃えられています。改札は手動です。

時刻表。ピンク色のものは、L特急「すずらん」の停車時間を表しています。

苫小牧・岩見沢方面の線路。ホームも広々としており、比較的大きな設備を備えています。

室蘭・長万部方面の線路。

反対側のホーム。周辺は住宅街に加えて、工場関係の資材置き場などがあります。

北口からは直接ホームに入れないため、この大きな跨線橋を渡って南口側に行くこととなります。

跨線橋から見た岩見沢方面の線路。その高さが理解できると思います。

北口には自転車も多数停められており、苫小牧までの主要な交通手段として利用されていることがよくわかります。

白老駅周辺スポット:白老ポロトコタン

白老町は、日本人が北海道に入植する以前より、アイヌ人の巨大集落があった場所として知られています。白老の巨大なアイヌコタン(アイヌ人の村)は、北海道に住むアイヌ人の一大拠点であったと考えられているのです。

そのような歴史もあって、白老町はアイヌ人とかかわりが深い町となっています。町内最大の観光施設でもある「白老ポロトコタン」は、白老町に古くからあった巨大集落を町内の「ポロト湖」付近に移築し、アイヌ文化を日本全国に、そして世界に向けて発信しています。

ポロトコタンの「アイヌ民族博物館」は、2018年3月31日に閉館してしまいました。しかし2020年4月には、新たに「国立アイヌ民族博物館」として再度オープンし、引き続きアイヌ文化やアイヌ民族の歴史を日本・そして世界に発信していく役割を担う予定となっています。

白老駅にも、アイヌ人の長老をかたどった木彫りの像が展示されています。

町内のいたるところで見受けられるのぼり。「イランカラプテ」とは、アイヌ語で「こんにちは」という意味の言葉です。

白老ポロトコタンは白老駅から徒歩10分程度のところに位置しており、白老町に来たならば必ず寄っておきたい観光名所です。ポロトコタンにはアイヌ人のチセ(わらぶきの家のこと)が復元されています。また、アイヌ人の血を引くスタッフの方がアイヌ文化について分かりやすく解説を行ってくれたり、実際に民族舞踊を披露してくれたりするので、分かりやすくアイヌの歴史を学ぶことができます。

ポロトコタンには巨大な駐車場も完備されています。道内だけでなく道外、さらには韓国や台湾、中国などからの観光客も数多く訪れる観光スポットとなっています。

ポロトコタンの入り口を入ると、10メートル級のアイヌ人の長老の像が出迎えてくれます。

北海道は日本人が入植する以前に、アイヌ人による原始的ながらも独自の文化を持った生活が形成されていました。その息吹を少しでも現代に伝えようとしているのが、この施設なのです。

ポロトコタン全体図。湖畔に、アイヌコタンが広がる形となっています。

こちらでは、北海道犬の保存事業も行われています。

北海道犬はアイヌ民族が飼い始めた犬種であり、ヒグマにも勇敢に立ち向かう度胸と勇気を兼ね備えています。

こちらで保存されている犬たちは、度胸と勇気とは程遠いゆったりとした表情を私たちに見せてくれます。

北海道犬の中には、ソフトバンクのCMで有名な「お父さん犬」の娘にあたる、ゆめちゃんという雌の犬も飼われています。

あまりこちらを向いてもらえませんでした。ゆめちゃんは、どうもカメラが苦手なようです。

こちらでは、北海道犬と同様、ヒグマの保存も行われています。ヒグマも、アイヌ人にとっては重要な動物のひとつです。

大小さまざまなチセでは、アイヌ文化を理解するための催しが行われています。こちらは、大きなチセで行われるアイヌの古式舞踊の様子です。

このように、チセはわらぶきの建物となっています。

口で加えて演奏し、特徴的な音色を奏でる楽器「ムックリ」です。

ポロトコタンはポロト湖のロケーションもみどころのひとつです。

陽の光に照らされたポロト湖は、アイヌ人が千年以上前から見てきたものと同じ感動を私たちに与えてくれます。

ポロトコタン内にあるアイヌ民族博物館では、実際にアイヌ人が使っていた生活用具やアイヌ人の歴史などをより深く学ぶことができます。アイヌ人の考え方、物事のとらえ方に至るまでを詳細に解説しており、非常に興味深い展示となっています。

入り口では、手ごろなサイズ感のヒグマの置物が迎えてくれます。

現在でも、北海道内には約24,000人のアイヌ人が生活しています。

アイヌ人は動物たちとのかかわりが大変深い民族です。

アイヌ人が日常的に使っていた舟です。

「アミプ」と呼ばれる民族衣装です。北海道内でも、地域ごとに刺繍の模様に違いがありました。

アイヌ人は、北方少数民族に分類されています。アイヌ人の民族衣装はフィンランドの方に住む少数民族「サーミ人」と類似する点も多く、これらの民族間におけるつながりについても研究が行われています。

アイヌ人の歴史と文化を学んだら、ポロト湖の湖畔にある温泉に浸かることができる「ポロト温泉」でゆったりと過ごしましょう。アイヌ文化に思いをはせながら入る温泉は、普段とはまた違ったものになることでしょう。

ポロト温泉に行くためにはポロトコタンから一旦出る必要があります。

ポロト温泉には、露天風呂は設置されていませんが、植物性モール泉という北海道では珍しい泉質の温泉に入ることができます。

源泉100%かけ流しの温泉。体の芯から温まることができます。

施設の裏手では、四季折々で表情を変えるポロト湖の姿も見ることができます。訪れた日は秋だったため、木々の紅葉が非常に印象的でした。

白老駅のまとめ

白老駅は白老町の中心部に位置しており、苫小牧と室蘭の中間地点でもあることから、交通の要所として大切な役割を担っています。利用客も多く、比較的規模の大きい駅だと言えるでしょう。ポロトコタンをはじめアイヌ文化と結びつきの強い白老町に訪れる際には、この駅で下車するのがベストです。
室蘭本線は、白老町をさらに南西部に向かって進んでいきます。白老町の中心街を抜けて、次回は「萩野駅」へと進んでいくことにしましょう。

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むらはし

むらはし

北海道の鉄道に魅せられた平成世代。北海道に数多くある秘境駅、廃線間近の路線などを巡り、その素晴らしさを伝えたいと思っています。

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