室蘭本線の本輪西駅を紹介します。再び室蘭本線に戻り、非電化路線となった最初の駅が本輪西駅です。近くには室蘭市を代表する景観スポット「白鳥大橋」があるので、忘れずにチェックしておきましょう。
室蘭本線は、東室蘭から西側へ進んでいく
室蘭市内を進んでいった「室蘭支線」からいったん東室蘭駅へ戻ると、再び室蘭「本線」の旅が始まります。東室蘭駅の記事でも書いたとおり、室蘭本線の電化路線は東室蘭駅で終了し、ここから終点の長万部駅までは非電化路線が続いていきます。
室蘭本線は、東室蘭駅からは一貫して西方向に向かって進んでいきます。東室蘭から先は内浦湾(噴火湾)の海岸線沿いに進んでいくことが特徴です。
東室蘭駅から西側に進む室蘭本線は、室蘭市の工業地帯を通り抜けるようにして進んでいきます。かつて隆盛を極めた工業地帯をゆっくりとした速度で通過していく中で、工場の様子などを観察しながら列車に揺られることができるでしょう。
室蘭市の海沿いに広がる工業地帯。かつてほどの生産量はないものの、特に製鉄などの分野においては現在でも北海道内の重要な生産拠点となっています。
かつて室蘭の工業を陰で支えた駅!本輪西駅とは?
室蘭本線の29個目の駅である本輪西(もとわにし)駅は、一見すると駅舎が綺麗な室蘭市内にある無人駅のひとつのように見えます。しかし本輪西駅は、2014年までは室蘭市内における工業系の貨物を輸送する一大拠点として機能しており、室蘭市、そして北海道の工業において非常に大きな役割を果たしていた駅なのです。
特に石油化学工業の貨物は、この駅を起点に札幌まで輸送されており、札幌と室蘭の大動脈を形成する重要な駅となっていました。しかし、室蘭市の工業生産の落ち込みや少子高齢化による人口・労働力減少のあおりを受けて、2014年をもってこの駅から貨物列車が発車することはなくなってしまいました。
現在は旅客のみの取り扱いとなっており、貨物列車の拠点となっていた時代の広々とした線路だけが残された、寂寥感にあふれる駅となっています。
室蘭本線は電化路線が非電化路線区間に挟まれていることも特徴ですが、本輪西駅からは再び非電化路線がスタートし、ここからしばらく、「伊達紋別駅」まではローカル線的なのどかさと風情が感じられる路線が続いていきます。
本輪西駅外観。小さな駅舎ですが、2015年に改築されたものであり非常に綺麗です。
駅構内の様子。特筆すべきものが置いてあるわけではなく、簡易的なベンチが設置されているのみとなっています。
跨線橋を通って、島式のホームへと向かうシステムです。
跨線橋から見た苫小牧・岩見沢方面の線路。元々は貨物輸送の一大拠点であったことから、駅の規模は非常に大きなものとなっています。
長万部方面の線路。遠くに、白鳥大橋を望むこともできます。
夕刻のホームの様子。普通列車が停車しています。
本輪西駅周辺スポット:白鳥大橋と祝津展望台
本輪西駅から2キロほど進んだ場所にかかっている「白鳥大橋」は、室蘭市のシンボルのひとつです。室蘭の工業地帯と室蘭港を結ぶ巨大な架橋は、全長約1.4キロにもなるものであり、その高さは最大で140メートルにも上ります。
白鳥大橋は夜のライトアップが非常に綺麗なことでも有名であり、周辺には白鳥大橋の全景を眺めることのできる展望台がいくつか点在しています。なかでも室蘭港側にある「祝津展望台」は、白鳥大橋の全景と工場群をすべて見渡すことができる場所であり、絶好の景観スポットとして有名です。
特に筆者が訪れた、夕日が沈んで昼と夜の境目があいまいになる時間帯「マジックアワー」には、通常の夜景以上に幻想的で、まるで絵画のような光景を目の当たりにすることができるでしょう。マジックアワーは、夕日が沈んでから約20分程度の間しか訪れない、まさに「魔法の時間」であるために、晴れた日にはぜひこの時間帯を狙って展望台を訪れてみましょう。
白鳥大橋の上から西方向を望む。東側には工業地帯が、西側には「大黒島」という無人島が浮かんでおり、その向こうには渡島半島の影も見渡すことができます。
白鳥大橋の概要。夜のライトアップは、風力発電の電力を利用して行われています。
祝津展望台から望む白鳥大橋の全景。巨大な橋の姿と、周辺に広がる工業地帯の様子もわかります。橋の左側に見えるタワーは、JXエネルギー(旧新日本石油)のものです。
左側には、風力発電所も見えます。日没後でも完全に暗くならない、昼と夜が混ざり合う「マジックアワー」の時間帯の白鳥大橋は、思い出に残るものとなるでしょう。
橋と反対側の景観もすばらしいものとなっています。快晴の日には、遠くの駒ケ岳までも望むことができます。
室蘭の街の様子と白鳥大橋。
橋の左側には、有珠山や昭和新山も望むことができます。
夕日は地平線の彼方に消えて、また夜がやってくるのです。
本輪西駅のまとめ
本輪西駅は、かつて貨物の一大輸送拠点として隆盛を極めた場所でした。貨物輸送がこの駅を起点に行われなくなった現在では無人の寂しい駅となっていますが、新しい駅舎と栄えていた時代の名残を感じることのできる場所となっています。駅から2キロの場所にある白鳥大橋も、必ずチェックしておきましょう。
室蘭本線は、さらに西側へと進んでいきます。次回は室蘭市の最西端に位置している「崎守駅」へと、ゆったりとしたスピードで進んでいくことにしましょう。
むらはし
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