室蘭本線の御崎駅を紹介します。工業で栄えた室蘭市。工業地帯の中心にある御崎駅は、室蘭の産業の歴史を見つめ続けている小さな駅となっています。
室蘭支線から、ゆったりとした速度で室蘭駅へと向かう
東室蘭駅から分岐して室蘭駅まで延びる室蘭支線は、室蘭駅を含めて4つの駅を抱えています。室蘭市は東室蘭駅側が栄えているため、電化路線ではありますが列車の進み方もゆったりとしており、特急以外の多くの普通列車が1両または2両編成となっているため、ローカル線の雰囲気を感じることができます。
室蘭支線に所属する4つの駅は、それぞれ違った個性を持っており、時間が許すのならば、ぜひともすべて訪問してみるべきでしょう。東室蘭駅・室蘭駅、そして母恋駅の周辺は住宅街なども形成されていますが、路線自体の絶対的な利用者数が少ないこともあって、のどかな雰囲気の場所が続いていくことも特徴です。
交通量の多い道路はあるものの、住宅や建物はそれほど多くない場所が続きます。御崎駅周辺は、ゆるやかな坂が続いています。
工業地帯の中心にある駅!御崎駅とは?
室蘭支線の2つ目の駅である御崎(みさき)駅は、室蘭市内の中でも特に工場などが数多く建っているエリアに位置しています。周辺に工場が点在する御崎駅は、ゆるやかな坂道に面した小ぢんまりとした駅となっています。
室蘭には坂が多いエリアもあり、坂道が続くアップダウンの場所も多いため、東室蘭駅に向かう方を中心に比較的利用者が多くなっていることも特徴です。また、駅は完全無人となっているため、切符の販売は駅前の商店で行っています。
かつては目の前に位置している工業地帯に向けて貨物を輸送するために、貨物専用の線路がいくつも張り巡らされた非常に大きな駅となっていました。しかし、市内の工業生産が頭打ちになり、札幌や苫小牧に生産拠点や輸送拠点が移っていく中で、これらの巨大な線路は利用されなくなっていってしまいました。
現在では、完全無人となった小さめの駅舎が残るだけであり、駅が巨大だったころの面影もほとんどありませんが、時代の移ろいと北海道の地方都市の現状を映し出している駅のひとつとして、御崎駅はひっそりとたたずんでいます。
小さめの小屋のような駅舎を備えている御崎駅。可愛らしい外観です。
内部には、1990年代半ばまで営業を行っていた売店の跡も残されています。
駅構内には落書きを消した跡が生々しく残っています。待合室はあまり使われていないようです。
東室蘭方面の線路。しっかりしたつくりのホームです。
室蘭方面の線路。跨線橋も、比較的立派なものが備えられています。
ホーム側の駅名表示は、平仮名となっています。
跨線橋から見た室蘭方面の線路。遠くに見える高架の道路は、国道36号線です。
反対側のホームには待合所も設置されています。
跨線橋の下を普通列車が通過しました。やはり1両編成です。
自転車が数台置かれており、恒常的な利用者がいることが分かります。
室蘭市の工業の歴史を感じながら、御崎駅周辺を歩こう!
御崎駅周辺には、最盛期よりも規模が小さくなってしまったとはいえ、様々な工場が建ち並んでいます。1970年ごろまで、室蘭市は人口16万人を抱え、苫小牧市をしのぐ道内有数の工業都市として発展を続けていました。
しかし、札幌への人やものの一極集中が進み、室蘭よりも札幌に近い苫小牧が物資の海上輸送の拠点となったことで、室蘭市は人口を吸い取られてしまうことになりました。札幌と苫小牧を結ぶ「Jライン」と呼ばれる線は、高速道路網の整備や1988年の新千歳空港の開業によってますます発展を続け、そのエリアに人や物資を軒並み奪われてしまった室蘭市は衰退を余儀なくされてしまったのです。
現在も加速度的に人口が減り続けている室蘭市ですが、胆振地方で苫小牧に次ぐ一大工業都市としての役割は揺らいでおらず、高度経済成長期から続く鉄鋼業を中心に、現在でも数多くの工場で日々生産活動が行われています。
駅の近くに、工場が建ち並ぶエリアが続いています。
線路沿いにも工場がいくつも建ち並んでいます。
跨線橋から見た工業地帯。鉄鋼業を中心に、様々な工場が並んでいます。
石油や天然ガスなど、エネルギー関連の工場も多くなっています。
サッカーボールを模したガスタンクです。駅から輪西方向に徒歩5分程度の場所にあります。
御崎駅のまとめ
御崎駅は、駅周辺に工業地帯を持っている駅です。室蘭市の工業は少しずつ衰退してしまっていますが、御崎駅周辺には広々とした敷地を持つ工場が数多く存在しています。様々な特徴を持つ室蘭支線の中で、御崎駅はまさに「工業」という大きな特色を持っているのです。
室蘭支線は、ゆったりと室蘭市内を進んでいきます。次回は、地球岬でも有名な駅「母恋駅」まで、進んでみることにしましょう。
むらはし
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