オロロンラインの舎熊駅と信砂駅を紹介します。廃線により、現在は寂しい雰囲気をかもし出すこととなってしまった両駅は、かつて利用者は決して多くはない駅ながら、確かに人を運び、しっかりと道民の役に立っていたことを証明するような跡形を残していました。
オロロンラインを北上しながら留萌本線の駅を見ておこう!
留萌本線の留萌~増毛間は、オロロンラインの発展と交通網の発達によって、2016年12月5日にその役目を終えました。留萌~増毛間はオロロンラインとほとんど並走するような形で留萌方面に線路が伸びており、列車の霜害から日本海を楽しむことも可能です。
廃線区間の駅のうち、今回は4つ目の駅「舎熊駅(しゃぐまえき)」と、5つ目の駅「信砂駅(のぶしゃえき)」の二駅を紹介します。いずれも人の少ない寂寥感と、時間が止まってしまったかのようなゆったりとした雰囲気の中にある駅であり、周辺の環境も含めて押さえておきたい駅だと言えるでしょう。
日本海、そしてオロロンラインとともに、留萌本線も北上します。
気持ちの良い青空が広がった日の開放感は、北海道のどんな場所でも味わえないほど爽快です。
劣化した駅舎を直した矢先の廃線!舎熊駅とは?
留萌本線の4つ目の駅「舎熊駅」は、1931年より開業している留萌本線の中でも特に古くからある駅のひとつです。80年以上の歴史の中で、日本海に面したこの場所で周辺住民にとっての足として利用され続けてきました。
舎熊駅は高台に位置しているわけではなく、周辺に海風を防ぐような障害物もないため、潮を多分に含んだ風が駅舎に直接吹き付ける場所となっています。その結果、現在の塗装された外壁を持つ駅舎は風の影響を受けて劣化し、2004年ごろには腐食と錆が進行して無残な姿となってしまいました。
その後、2008年ごろには駅舎の外壁にボードを貼る補強工事がなされ、舎熊駅は新しく生まれ変わりました。しかし生まれ変わってから10年とたたないうちに廃線が決定し、廃線後には駅舎やホームが順次撤去されています。
舎熊駅へは、こちらの「舎熊郵便局」に通じる小道に入るとすぐにアクセスすることができます。
舎熊駅外観。このように、入り口付近以外には錆も見当たらない大変綺麗な駅舎になりましたが、この度廃線となったことで補修工事が無駄になってしまいました。
駅名表示板も塗装が塗り直されており、一時期よりも綺麗になっています。
駅から徒歩1分のところには日本海が広がり、背の高い建物などもないために海風が直接吹き付ける環境となっています。
駅構内も比較的綺麗に保たれています。他の無人駅と同様、必要最低限の設備のみが備えられているのが特徴です。
時刻表。上下線1日6本ずつの運行でした。
増毛方面の線路。海の反対側には小高い丘が連なります。
留萌方面の線路。
駅周辺には民家が点在しています。
舎熊駅からさらに北上!信砂駅とはどんな駅?
舎熊駅から1キロほど北上すると、徐々にオロロンラインと線路が若干離れ始めます。廃線区間の中でオロロンラインから唯一少し離れた場所に位置している駅が「信砂駅」です。信砂駅は他の廃線区間の駅と違い、周辺に農村地帯が広がっており、農業で生計を立てている方々の小さな集落が形成されています。そのため、海岸から若干離れた場所に位置しているのです。
廃線区間において、周辺に海が見えない駅はこの信砂駅のみとなっています。
駅名表示板。海岸から離れていることもあり、沿線の駅の中では最も錆などの腐食がない駅となっています。
駅舎。小さく、寂れた雰囲気があります。
駅構内は木造で、除雪の設備などは用意されていませんでした。季節になってから持ち込まれるのでしょうか。
やはり上下線ともに1日6本ずつの運行でした。
ホームには廃線区間で唯一、点字ブロックが設置されているのも特徴です。
留萌方面の線路。ここから、また海沿いへ線路が戻っていくことになります。
増毛方面の線路。暑寒別岳を望みながら増毛方面へと南下していきます。
駅からオロロンラインへ戻ると、テントを立ててキャンプをしている方がいらっしゃいました。波が高い日は、このテントの場所まで波がやってきてしまうこともあります。
舎熊駅と信砂駅のまとめ
廃線が決定している留萌本線の留萌~増毛間のうち、海側に面した舎熊駅と、農村地帯に面した信砂駅は全く異なった個性を持った駅です。いずれの駅も、オロロンライン沿いの日本海が海辺だけでなく、山の豊かな自然も育んでいるということを証明してくれる場所のひとつだと言えるでしょう。
信砂駅から伸びる線路は、またオロロンライン沿いへ戻っていきます。次回からは、また留萌本線の廃線区間に沿って北上を続けていくことにしましょう。
Ichiro
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